たろうスイッチ

自閉症で言葉を話せない支援級1年生たろうの成長記録

自閉症たろうのきょうだい児じろうの話

自閉症で言葉を話せない支援級1年生のたろうには

2歳年下のきょうだい児、じろうがいる。

じろうは1歳の頃から外出用コートをたろうに渡したりと面倒を見始め、

たろうが泣いているときに言葉が達者なじろうは何があったか母に教えてくれたり、

Switchゲームの開始終了操作をたろうのためにやってあげたり、

別の大人にたろうが言いたいことを代弁してあげたり、

大型遊具で親が中に入れないときにちゃんと列に並べるようにみていてくれたり、

なかなかに頼もしい存在である。

 

たろうが話せないことや、苦手なことがあることを

自然と理解しており、詳しくは知らないものの受け入れてくれている。

じろうが3歳くらいのとき、母には言葉で話しかけていたが、

たろうには言葉ではなく、非言語でコミュニケーションをとっており

相手によってコミュニケーション方法を使い分けていたことにはびっくりした。

空気が読めて器用な子である。

 

とはいえ、だんだんとじろうもできることが増えていって、

一時は兄をバカにするような発言もあった。

母「誰にでも得意不得意はある。じろうも○○についてできていないよ。

たろうはできているよ。そうやって相手が苦手なこと、できないことを

言うのはとってもカッコ悪いよ。そういうじろうはママ好きじゃないな」

と人の不得意なところについていうのは良くない、カッコ悪いということを

教えてきて、そこからはそういった発言もしなくなった。

 

最近は、兄たろうの影響かもともとのじろうの性格かはわからないが

異様な完璧主義、1番になりたい気持ちが強い、失敗することを恐れる

という性格に育ってしまった。

 

たろうはできないことが多かったため、少しのことでも親は非常に褒めた。

じろうはたろうができないことも簡単にできてしまうため、

たろうほどには褒められなかったかもしれない。

じろうは、たろうよりできるところを親に見せて褒められたい

という気持ちが強くあった。

負けず嫌い、1番になりたい気持ちはここからかもしれない。

1番になりたい、兄を越えたいという思いは次男であればあることだと思うが、

(父母ともに次男次女なので気持ちはよく分かる)

失敗したくない気持ちが強すぎる、これは問題だと思った。

 

ゲームであってもまずやってみたらいいのに

じろう「失敗するかもしれないからママやって」という。

失敗してもマリオが1人減るだけである。

じろうの中で、失敗=してはいけないこと、になっていた。

ゲームでもタブレット学習でも失敗すると大きな声をあげて癇癪を起こす。

そして(失敗したところから進めたらいいのに)

リセットを押して最初から全部やり直す。

少しの失敗も自分の中で許せない、完璧主義。

 

そこで母は「ナイスチャレンジ!!」という言葉をじろうに伝えた。

「失敗はしてもいいことなんだよ。みんな失敗してうまくなるんだから。

失敗はむしろ頑張っている証拠なんだよ。

やってみて、上手くいかなかったら『ナイスチャレンジ!』っていうんだよ」

 

ナイスチャレンジ!はじろうに響いたらしく、

この言葉のおかげで失敗しても癇癪を起こすことは減ってきて

じろうが失敗しても、母「ナイスチャレンジ!」

母が失敗しても、じろう「ナイスチャレンジ!」

と言うことで、気持ちを安定させることができるようになった。

※母がゲームに失敗しても怒られなくなった

 

未だに、タブレット学習の問題を1つでも間違えると

プログラムの一番最初に戻ってやり直し、

1つも間違えずにできるまでやりきるという完璧主義なところは変わっていないが

以前よりは失敗を自分の中で受け入れることが

できるようになってきたのではないかと思う。

 

マイペースで周りを気にしないたろう

完璧主義で1番になりたいじろう

たろうはじろうが大好き。弟を溺愛している。

じろうもたろうに好かれていることがまんざらでもない。

 

喧嘩も良くするが、一緒に遊ぶことも多い。

よく一緒にテレビを見てケラケラ笑っている。

きょうだい児として苦労することも今後あると思うけれど

これからも兄弟仲良くいてほしい。